猫(Mix) 6才4カ月 女の子
ワクチン接種で来院された際、最近ドライフードよりも缶詰を好んで食べる、口臭も気になるので診てほしいとのことでした。
診察では、歯石は少量、中等度の歯肉口内炎が認められました。
抗生物質と口腔内用のサプリメントを飲ませていただいたところ、口臭は軽減され食欲もでてきましたが、歯石のついている臼歯部分には歯肉の炎症が残っていたため、麻酔下での歯科治療処置を行うことになりました。
術前検査として、血液検査・胸部レントゲン検査・尿検査を行いました。
手術当日には、まず、麻酔下で歯周プローブ検査を行いました。
歯周プローブ検査
歯周ポケットは全て2mm以下で、左右の上顎臼歯部分に中等度の歯肉炎が認められ、左右下顎の第一前臼歯部分に初期の*猫破歯細胞性吸収病巣(FORL)が認められました。
左下顎第1前臼歯(○部分)
* 猫破歯細胞性吸収病巣(FORL):歯を溶かしていく進行性の疾患です。進行すると歯の象牙質や歯髄が露出し、痛みを生じます。
スケーリング後、歯肉の増生が見られた左上顎第3前臼歯部分の歯肉を切除・縫合しました。
スケーリング
左上顎第3前臼歯部分の歯肉の増生(○部分)
切除・縫合後
フッ素配合の研磨ペーストでポリッシングし、歯科用軟膏を注入しました。
ポリッシング
処置前(右上顎)
処置後(右上顎)
処置前(右下顎)
処置後(右下顎)
処置前(左上顎)
処置後(左上顎)
処置前(左下顎)
処置後(左下顎)
退院時には、歯科検診結果表をお渡ししています。
経過①:処置から3日後の来院時には、元気も食欲もあり、口を気にする様子はないとのことでした。歯肉の発赤は治まってきており、縫合部も問題ありませんでした。下顎の猫破歯細胞性吸収病巣(FORL)部分の発赤もなくなっていました。
経過②(処置から約6週間後):歯石・歯垢はついておらず、歯肉炎もありませんでした。これからお口の中を健康に保っていただくため、歯みがきの仕方についてお伝えしました。
ご家庭での歯のお手入れ、がんばりましょう!