猫(MIX) 6才6カ月 男の子
混合ワクチンで来院されたときに、体重が前回来院日(約1年2ヶ月前)よりも1.05kg減少しており、後日絶食での血液検査に来院されました。
昨日歯が抜けた、食欲はあるが、ドライフードよりもウェットフードを好むとのことでした診察では、多量の歯石、重度の歯肉の炎症が認められ、歯肉口内炎*と診断されました。
すでに抜けてなくなっている歯も多数ありました。
*歯肉口内炎:歯肉や口腔内に炎症を起こし、痛みにより食欲不振・よだれ・口臭などの症状を呈します。はっきりとした原因は解明されていませんが、ウイルス感染や口腔内の細菌感染が関わっていると考えられています。
血液検査の結果でも、口腔内の感染が疑われたため、麻酔下での歯科治療処置を行うことになりました。
術前には、口腔内の状態を良くしておくため、口腔内用のサプリメントや抗生物質をお渡ししました。
また、術前検査として血液検査、胸部レントゲン検査、尿検査を行いました。
麻酔下での歯周プローブ検査後、スケーリング、ルートプレーニングを行いました。
歯周プローブ検査
スケーリング
ルートプレーニング
すでに脱落していた歯の歯根が多数残っていたため、その残根を抜歯しました。また、「猫破歯細胞性吸収病巣」(FORL)*が認められた歯も抜歯しました。
*猫破歯細胞性吸収病巣(FORL):歯を溶かしていく進行性の疾患です。進行すると歯の象牙質や歯髄が露出し、痛みを生じます。
フッ素配合の歯科研磨ペーストを使ってポリッシングを行いました。
処置前
処置後
退院時には、歯科検診結果表をお渡ししています。
処置当日の退院でしたが、その日の夜からフードを食べてくれたとのことでした。
経過①:処置から11日後の来院時には、元気も食欲もしっかりありました。
経過②:処置から16日後にはドライフードも食べるようになったとのことでした。これからお口の中をよりよい状態に保っていただくために、歯みがきの仕方についてお伝えしました。
経過③:処置から約1カ月後の来院時は、歯みがきを頑張っているがどこまでできているかわからないとのことでしたが、残っている歯はとてもきれいに磨けていました。臼歯があった部分の歯肉口内炎はまだ残っており、右上顎犬歯のぐらつきもまだ少しあったため、一カ月後に診察に来ていただくようお伝えしました。
ご家庭での歯のお手入れ、がんばりましょう!