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歯科症例27

ジャックラッセル・テリア 10才 3ヶ月 男の子

フィラリア予防で来院された際の身体検査で多量の歯石と歯肉炎が認められたため、麻酔下での歯科治療処置についてお話ししました。
2カ月後、ワクチン接種に来院された際、身体検査時の聴診で心雑音が認められました。
咳もたまにしているとのことでした。

歯科治療処置をご希望されており、全身麻酔下での処置となるため、まず心臓の検査を行いました。
軽度の僧帽弁閉鎖不全が認められ、投薬により状態を安定させてから、歯科治療処置を行うことになりました。
処置までに少しでも口腔内の状態を良くするため、口腔内用のサプリメントや抗生物質もお渡ししました。処置当日、口臭は軽減していました。

全身麻酔下での歯周プローブ検査・口内検査時に、歯のエナメル質が欠損している部分がたくさん認められました。
歯が欠けてしまうような硬いものは噛ませていないとのことでしたので、エナメル質形成不全*が疑われました。
歯神経ブロック後、スケーリング、ルートプレーニング、ポリッシングを行い、歯周ポケットの深かった部分には歯科用軟膏を注入しました。

*エナメル質形成不全:歯のエナメル質が正常に作られないことをいいます。エナメル質形成時(仔犬の時)のウイルス感染症や外傷、発熱、代謝障害が原因とされています。エナメル質が薄く、歯質が脆弱になり、破折の可能性も高くなります。

歯周プローブ検査

歯神経ブロック

大きな歯石を取り除きます。

スケーリング

ルートプレーニング・キュレッタージ

ポリッシング

口内に残っている汚れや研磨ペーストをきれいに洗い流します。

歯科用軟膏を注入

処置前(右上顎)

処置後(右上顎)

処置前(右下顎)

処置後(右下顎)

処置前(左上顎)

処置後(左上顎)

処置前(左下顎)

処置後(左下顎)

処置翌日の朝には、元気も食欲もあり、退院となりました。
退院時には、歯科検診結果表をお渡ししています。

経過:退院後も元気・食欲はしっかりあり、お薬も順調に飲ませられているということでした。
処置から5日後の来院時には歯肉の炎症は治まっており、これからお口の中を健康に保っていただくため、歯みがきの仕方についてお伝えしました。

ご家庭での歯のお手入れ、がんばりましょう!