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歯科症例21

ミニチュア・シュナウザー 7カ月 女の子

乳歯が抜けずに残っており、永久歯の噛み合わせが悪くなっていたため、術前検査の後、全身麻酔下での歯科治療処置を行うことになりました。
乳歯は全部で10本残っていました。
わんちゃんの永久歯は全部で42本ですが、この子は52本歯が生えている状態でした。

乳歯が抜けないまま永久歯が生えた場合、そのままにしておくと永久歯の噛み合わせや歯並びが悪くなり、口内炎や歯周病の原因になります。
乳犬歯が残っているため、永久歯の犬歯が前に押され、下顎の犬歯が、上顎の歯の内側に入り込み、上顎の歯肉に当たっています。

 

正常な噛み合わせ。下顎の犬歯が上顎の犬歯と切歯の間に入ります。

 

歯神経ブロック後、スケーリング、乳歯の抜歯、犬歯の矯正、縫合等の処置を行いました。

歯神経ブロック

スケーリング

乳歯の抜歯

<犬歯の矯正>
抜いた乳犬歯の歯根部を切り取り、切り取った部分を犬歯の前側の歯肉に埋め込んで犬歯の生える方向を後ろへ矯正します。

 

矯正前

矯正後、縫合

処置前(右上顎)

処置後(右上顎)

処置前(右下顎)

処置後(右下顎)

処置前(左上顎)

処置後(左上顎)

処置前(左下顎)

処置後(左下顎)

麻酔覚醒後、元気・食欲ともほぼいつもどおりで、当日の退院となりました。
経過:1週間後の来院時には、歯肉に炎症はなく、痛がる様子も全くないとのことでした。

これからお口の中を清潔に保っていただくため、歯みがきの仕方についてお伝えしました。
さらに2週間後には、犬歯の歯列はほぼ正常に咬合できるようなっていました。
ご家庭での歯のお手入れ、がんばりましょう!
今回の処置では、乳歯の抜歯と、乳犬歯を使った犬歯の外科的矯正を行い、悪くなっていたかみ合わせがほぼ正常な状態まで改善しました。
処置から46日後の様子です。

処置前は多数の上顎切歯が残存しているため見えていなかった永久歯が、46日後にはきれいに揃って並んでいます。

処置前

46日後

本来、下顎の犬歯は、上顎の犬歯と第三切歯の間に入ってかみ合います。
処置前は、乳歯の残存により上顎の犬歯が前方に押され、犬歯と第三切歯の間が狭くなっていました。
そのため、下顎の犬歯は間に入れず、上顎の歯の内側に入り込んでしまっていました。
今回、乳歯抜歯と犬歯矯正により上顎犬歯が後方へ移動し、下顎犬歯が正常な位置へ移動できました。

処置前

 

46日後