ミニチュア・シュナウザー 6才7カ月 女の子
歯がかなり悪く、何本か抜けている。
歯がぐらついているところから出血が始まり、他院にて塗り薬を処方されたが改善されなかったとのことで来院されました。
診察では、多数の歯は脱落し重度の歯周病が認められました。
残っている歯は12本のみでしたが、それらも歯肉の退行がひどく、全てぐらついていました。
そこで術前検査の後、全身麻酔下での歯科治療処置を行うことになりました。
術前のレントゲン検査では、歯槽骨の吸収病巣が多数認められ、下顎骨は骨折のリスクもあり、充分な注意が必要とされる状態でした。
歯神経ブロック後、スケーリング、ルートプレーニング・キュレッタージ、歯周プローブ検査、抜歯・縫合、ポリッシングを行い、歯周ポケットの深い部分には歯科用軟膏を注入しました。
大きな歯石を取り除いてからスケーリングを行いました。
歯周プローブ検査
ルートプレーニング・キュレッタージ
ルートプレーニングとキュレッタージ(下記<参考>参照)により出血がおこりますが、これは壊死組織が除去され、生きた組織が出てくるための正常な出血です。全部で8本の抜歯を行いました。
上顎第一後臼歯は三根歯(歯の根元が3本に分かれている歯)であるため、歯を3本に分割、抜歯しました。抜歯の後は、歯肉でフラップして縫合します。
抜歯した部分は生理食塩水で洗浄後、歯科用抗生物質製剤を挿入し、縫合しました。
研磨剤をつけてポリッシング後、口の中の研磨剤や汚れをきれいに洗い流します。
歯周ポケットの深い部分に歯科用軟膏を注入しました。
処置前(右上顎)
処置後(右上顎)
処置前(右下顎)
処置後(右下顎)
処置前(左上顎)
処置後(左上顎)
処置前(左下顎)
処置後(左下顎)
処置当日の夜からフードをよく食べてくれました。
退院時には、歯科検診結果表をお渡ししています。
経過:退院後もいつも通りの様子で口を痛がることもないとのことでした。
処置から1週間後の来院時、元気も食欲もあり、歯肉の炎症は治まっていました。
上顎犬歯は2本ともまだぐらつきがあり、歯科用軟膏を再注入しました。
さらに1週間後・2週間後に歯科用軟膏の再注入を行い、軟膏がほとんど入らないくらい歯周ポケットは浅くなりました。
これからお口の中を健康に保っていただくため、歯みがきの仕方についてお伝えしました。
ご家庭での歯のお手入れ、がんばりましょう!