お知らせ
2016.04.01

歯科の治療と処置 73

*歯科の治療と処置 一覧はこちらをご覧ください

 

チワワ 12才11か月 男の子 

 

1か月ぐらい前からよくクシャミをしている

時々鼻水もでているとのことで来院されました。

口腔内を確認したところ、上顎犬歯部分の歯肉は著しく後退しており、歯科疾患がクシャミの原因と考えられました。

*上顎の犬歯は歯根がとても長く、鼻腔と隣接しています。間にはほとんど骨がないため、
 病変が歯根に及ぶと鼻腔とつながってしまい(口腔鼻腔ろう)、クシャミや鼻水の原因となります。


歯科処置が必要だろうと思われましたが、高齢であったため、まず内科的治療から開始しました。
抗生物質を飲ませていただき、症状は少し改善しましたが、完全には治まりませんでした。
そこで、内科的な治療だけで管理することは難しいだろうということをお伝えし、
後日、充分な術前検査後、歯科処置を実施しました。

 

 

まず、麻酔下で歯周プローブ検査・歯科レントゲン検査を行いました。


歯周プローブ検査

クシャミの原因と思われる上顎犬歯の歯周ポケットは右は8mm、左は15mm以上もありました。


  
歯科レントゲン検査(下顎)
下顎の犬歯も、歯根部に左右とも歯槽骨の吸収(写真右・青く塗った部分)が認められ、
ひどくぐらついていたため抜歯処置を行うことにになりました。


歯神経ブロック後、まずスケーリング、ルートプレーニング・キュレッタージを行い、
口腔内をきれいにしました。

  
        歯神経ブロック           ルートプレーニング・キュレッタージ



  
左上顎の犬歯です。汚れを取り除いてみると、一部えぐれたようになっていました。(吸収病巣)○の部分です。
また、通水テストにより口腔鼻腔ろうになっていることもわかりました。


*口腔鼻腔ろう:上顎歯の歯肉炎によって上顎歯槽骨が吸収して鼻腔にまで達すると、
        口腔と鼻腔がつながって口腔鼻腔ろう(口鼻フィステル)となります。
               口腔鼻腔ろうができると、くしゃみ・鼻水・鼻出血・目やになどの症状がでてきます。
   根本的治療は、まず原因となる歯を抜歯することです。


  
抜歯処置を行い(写真左)抜歯窩は壊死組織を取り除き、きれいにトリミングした後、
洗浄し、抜歯創保護材を充填しました。(写真右)


縫合

フッ素配合の研磨ペーストでポリッシングし、歯周ポケットの深かった部分には歯科用軟膏を注入しました。

  
  ポリッシング                   歯科用軟膏の注入


  

処置前(右上顎)                処置後(右上顎)


  
処置前(右下顎)                処置後(右下顎)

  
処置前(左上顎)                処置後(左上顎)

  
処置前(左下顎)                処置後(左下顎)


 退院後、歯科検診結果表をお渡ししています。

経過①(処置から9日後):元気や食欲はしっかりあり痛みはなさそうだが、食後に口を物にこすりつける様子がある
とのことでした。歯肉の炎症は改善しており、縫合部分も問題ありませんでしたが、
念のため1週間後に再度診察に来ていただくようお伝えしました。

経過②(処置から17日後):さらに歯肉の炎症は治まり、縫合部分はとてもきれいに閉じていました。
クシャミは全くしなくなり、鼻水も治まったとのことでした。

 

 

この子の歯科処置は2回目ですが、今度は良い状態が保てるように、

ご家庭でのデンタルケア、がんばりましょう! 


 


  <参考>

*歯周プローブ検査:歯周ポケットの深さを1本ずつ測定します。

*ルートプレーニングとキュレッタージ:歯科治療処置では、見えている歯垢や歯石を取るだけではなく、
                   歯周ポケットの中もきれいにすることがとても重要です。

*ポリッシング:歯石を除去すると歯の表面には目に見えない傷がつき、歯垢・歯石が付きやすい状態になっています。
        専用の研磨剤と機械でツルツルに磨き、処置後もお口の中を健康に保てるようにしています。

ペインコントロール:できるだけ痛みのない手術や処置のために。そして、より安全な麻酔のために。

 

院長は日本小動物歯科研究会に所属、技能レベル1~レベル4まで、動物歯科の全レベルを修了しており、
当院ではそれに基づいた適切な歯科治療を行っています。    

 

日本小動物歯科研究会HP 「無麻酔で歯石を取る?!」
<コラム>デンタルケアのお話  

 

  *歯科の治療と処置 一覧はこちらをご覧ください。