お知らせ
2013.11.03

歯科の治療と処置 32

ミニチュア・ダックスフンド 12才11ヶ月 女の子

歯が痛いみたいで日に日に食欲が落ちている、
口を触ると嫌がる、
ここ1カ月は硬いガムを食べなくなり、フードも細かくして与えている、
口をあけると痛いみたいで開かない
 とのことで来院されました。

診察では、重度の歯周病が認められ、歯肉はすべて腫れており、歯根部まで露出している歯も多数ありました。
口唇の内側は左右ともに潰瘍化していました。

麻酔下での歯科治療処置を行うにあたり、術前検査の後、

口腔内の状態を良くするため、口腔内用のサプリメントや抗生物質をお渡ししました。
処置当日には、口臭や潰瘍は少し改善しており、
以前よりも元気・食欲が出てきて、口を開けられるようになったそうですが、
やはり開けると痛がるとのことでした。

 

 

 

 

 麻酔下での歯周プローブ検査の後、
歯神経ブロック、通水テスト*、スケーリングを行いました。


上顎犬歯の内側は、歯周ポケットが15mm以上ありました。

 

 

 

  
歯神経ブロック                  スケーリング

 

 

 

*通水テスト:歯周ポケットに生理食塩水を注入し、口腔鼻腔ろう*の有無を確認する検査です。

 


*口腔鼻腔ろう:上顎歯の歯肉炎によって上顎歯槽骨が吸収して鼻腔にまで達すると、
        口腔と鼻腔がつながって口腔鼻腔ろう(口鼻フィステル)となります。
        口腔鼻腔ろうができると、くしゃみ・鼻水・鼻出血・目やになどの症状がでてきます。
                        根本的治療は、まず原因となる歯を抜歯することです。

 

 

 

通水テストにより、上顎犬歯部分が口腔鼻腔ろうになっていることが分かりました。
左上顎歯は、犬歯とその隣の第1前臼歯、第2前臼歯部分まで口腔鼻腔ろうになり、繋がっていました。

 

 

 

また、左上顎第4前臼歯は破折して露髄していました。

○部分が破折・露髄しています。

これらの歯と、ぐらつきのひどい歯の抜歯を行いました。
抜歯窩は生理食塩水できれいに洗浄した後、縫合しました。犬歯部分は抜歯創用保護材を充填してから縫合しています。

 

 

 

ルートプレーニング・キュレッタージ後、フッ素配合の研磨ペーストを使ってポリッシング。

  
ルートプレーニング・キュレッタージ              ポリッシング

歯周ポケットの深い部分には歯科用軟膏を注入しています。

歯科用軟膏の注入

 

 

 


  
処置前(右上顎)                 処置後(右上顎)

  
処置前(右下顎)                処置後(右下顎)

  
処置前(左上顎)                  処置後(左上顎)

  
処置前(左下顎)                 処置後(左下顎)


術後は貧血のため一時期心配しましたが、
フードを翌日から食べてくれて、順調に回復し、2日後に元気に退院しました。



 退院時には、歯科検診結果表をお渡ししています。

 

 

 

退院翌日はずっと寝ていたそうですが、食欲はとてもあり、1日3回しっかり食べているとのことでした。

経過①:処置から4日後の来院時には、口腔内の炎症は改善してきており、口が開くようになったそうです。
6日後には炎症も発赤もさらに治まっていました。

経過②(処置から8日後):縫合部分も問題なく、歯科用軟膏を再注入し、歯みがきの仕方についてお伝えしました。

  

経過③
(処置から2週間後):歯肉の炎症はさらに改善し、歯のぐらつきほぼなくなっていました
歯科用軟膏を再注入し、歯科治療を終了しました。

経過④(処置から1ヶ月後):口腔内の縫合部分はとてもきれいに治っていました。
潰瘍部分も完全に治癒していました。

  
右上顎 処置前(○が潰瘍部分です)              処置から1カ月後

  
左上顎 処置前(○が潰瘍部分です)              処置から1ヶ月後


歯みがきを頑張っているとのことで、歯石はついておらず、きれいに歯みがきができていました。  

 

 

 ご家庭での歯のお手入れ、がんばりましょう! 

 


 

 

 

 

 

<参考>

*歯周プローブ検査:歯周ポケットの深さを1本ずつ測定します。

*ルートプレーニングとキュレッタージ:歯科治療処置では、見えている歯垢や歯石を取るだけではなく、
                   歯周ポケットの中もきれいにすることがとても重要です。

*ポリッシング:歯石を除去すると歯の表面には目に見えない傷がつき、歯垢・歯石が付きやすい状態になっています。
        専用の研磨剤と機械でツルツルに磨き、処置後もお口の中を健康に保てるようにしています。

ペインコントロール:できるだけ痛みのない手術や処置のために。そして、より安全な麻酔のために。

 

 院長は日本小動物歯科研究会に所属、技能レベル1~レベル4まで、動物歯科の全レベルを修了しており、
当院ではそれに基づいた適切な歯科治療を行っています。      

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  日本小動物歯科研究会HP 「無麻酔で歯石を取る?!」
<コラム>デンタルケアのお話 

 

 

 

 *歯科の治療と処置 一覧はこちらをご覧ください。